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燕京雑考@ブログ版
中国・北京の歴史、風習を紹介。一日一つを目指します。
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中元の日、寺院では盂蘭盆会を執り行う。灯明を灯し、お経を上げ、成仏できないものの霊を慰める。

経典によれば、

仏弟子・目連の母は餓鬼に生まれ変わり、物を食べることが出来なかった。
お釈迦様は七月十五日に、たくさんの食べ物を、大勢の人に施す盂蘭盆会を行うようにいい、
それを催した後、目連の母は物を食べることが出来るようになった。
そして目連がお釈迦様に、「親孝行なものはみな盂蘭盆会の供養をしなくてはいけませんね」といったところ、お釈迦様は「それはよいことだ」とおっしゃったので、後世、これに従うようになった。

と言うことである。

『釈氏要覧』には、

盂蘭盆会はインドの言葉で、中国語にすると「『逆吊るし』を解く」と言う意味だ。現在人々は”盆”を供えるが、それは間違いだ。

と書かれている。

『釈氏要覧』「目連救母」


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訳注:

盂蘭盆会:日本で俗に言うお盆のこと。これは仏教のお祭り。この言い伝えは、日本でもお盆の由来で言い伝えられている。

目連:モッガーラーナのこと。釈尊の十大弟子の一人。

『釈氏要覧』:宋・釈道誠の著。僧侶の基礎知識を経文を引用しながら解説している本。

『逆吊るし』を解く:盂蘭盆会の語源は「ウランバナ」というサンスクリット語。ウランバナは、「倒懸」という意味。目連の母は、死後、逆さ吊りの責め苦に遭っていたことにつながるようだ。
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中元の日、寺院では張子の舟を作り、夜にこれを焼く。

張子の船

かなり大きいもの物もある。




------------------------------------------------------------------訳注:

中国では、死者を弔うときに、お金、家、日用品などなど紙でできた模造品を焼く習慣があります。船もその中のひとつ。日本の、お盆に、きゅうりで作った馬、おナスで作った牛(いわゆる「精霊馬」)をつくり、死者の魂を迎えるといった習慣がありますが、馬なども、中国の場合紙で作ります。

中元の夜、巷の子供たちは蓮の葉で作った提灯を手に

「蓮の葉提灯、蓮の葉提灯、今日火をともして、明日すてる」

と歌いながら街を歩く。

青ヨモギには線香をつけて火をともす。その様子は蛍が飛び交うように見え美しい。これがいわゆるヨモギ提灯。

手先の器用な人は色紙を使って蓮の花、蓮の葉、花篭、鶴や鷺の形の提灯を作る。それらは蓮花提灯と言われる。

『日下旧聞考』によれば、蓮の葉提灯は元、明の時代にすでに見られ、現在に伝わっている。


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訳注:

蓮の葉提灯、ヨモギ提灯、蓮花提灯:下画像左から

蓮の葉提灯、ヨモギ提灯、蓮花提灯

蓮の葉提灯は、茎のついた蓮の葉に、ろうそくを立てたもの。
ヨモギ提灯はヨモギにお線香を結びつけたもの。
蓮花提灯は紙細工の提灯。

この三種類が主な提灯。中元の夜、子供たちは、これらの提灯をもって町を練り歩きました。
中元は節句ではないが、この日、墓掃除をしてお参りをする。


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訳注:

中元:道教の祭日で三元の一つ。この日は、清明節、十月一日とともに「鬼節」(御霊祭り)とも言われ、お墓参りをする習慣があります。

まだまだ暑さは続きますが、暑さもあと少し、と思えるようになってくるのが立秋。この立秋の日は昔から、体重を量る習慣がありました。
何のために体重を量るのかというと、夏の間に太ったのか、やせたのかを見るためです。昔の人は、体調を体重の増減で感じたようなところもありますから、やせたとなれば、「苦夏」をすごしたといい、やせた分だけの肉を食べました。これを「貼秋膘(てぃぇちゅうびゃお)」といいます。意味は、秋に脂身の肉を補填する...といったところでしょうか。

「膘」は脂身の肉ですから、このとき食べるのは脂身の肉が多くなります。「豚の角煮(「紅焼肉」)などがよく食べられる料理です。このほか、鶏やアヒルの煮込みなどが食べられます。

現在でもこの日は、脂身の肉が多く売れ、料理屋でも「豚の角煮」などの料理がよく注文されるそうです。

脂身なんて嫌いな子供たちも「習慣なんだから、今日は脂身のお肉を食べなきゃ」とおばあちゃんたちに言われて、いやいやながらも食べているすがたが、思い浮かばれます。
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