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燕京雑考@ブログ版
中国・北京の歴史、風習を紹介。一日一つを目指します。
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李華さんのいま話、むかし話 ☆ 李華さんの家-2

李華さんの家は、前回に触れたように、昔のスタイルの家だ。

四合院というのがその家のスタイルの名前だが、
四角い中庭を囲むように家が建っている。
以前はその四合院に一家族と使用人が暮していたが、
現在では数家族が長屋状態で住んでいる。

だから李華さん一家が住んでいる部屋は、
かつては一番よい部屋だったところだが、
面積からすると、四分の一にも満たない広さに住んでいるのだ。
簡単にいったら二部屋だけ。

台所は庭の片隅に小さな小屋があって、そこが台所。
これは後から建てたもの。風呂場もないし、トイレもない。
風呂は公衆浴場に行き、トイレは横町の公衆トイレを使う。

李華さんに言わせると
「ひとつの四合院に数家族が住むようになってから、水道は足りない、
 トイレにする場所もないということで随分生活スタイルが変ったの」
だそうだ。

以前は、入口に近いひとつの部屋が台所で、水道が引かれていたのに、
数家族が住むようになってから、庭に共同の蛇口がつけられて、
そこから水をとるようになったという。
その後、それぞれの台所に水道管をひいたという。

トイレは、ひとつの小さな部屋がおまるをおいたトイレの部屋になっていて、
毎日、回収する人がきていたけれど、
人数が多くなったらそれでは追いつかないので、
横町のあちこちに公衆トイレが出来たのだという。

そして彼女の話から推測すると、文化大革命の前までは、
共産中国の建国前とあまりかわらない生活を送っていたようだ。
変ってしまったのは、文化大革命期に軍隊に入り、帰って来てかららしい。
彼女の言葉には、「軍隊から帰ってきた後」という言葉がよく出て来る。

軍隊から帰ってきてみたら、家には他の人達が住んでいたのだそうだ。
それからいろいろな手続きを踏んで、ようやく二部屋だけ自分たちの住居用に取り戻したものの、手を加えないと住めないほどに荒らされてしまっていたという。

彼女は現在、そんな家に住んでいる。
李華さんも、大学生の娘さんも、
不便だけれど、その生活が気に入っているといっている。

「天井が高くて、夏は涼しいし。
冬は寒いけれど、簡易のスチームを暖房にしたし。」
そして何より、彼女のおばあさんやご両親の思い出がたくさん詰まった家だ。

北京の都市改革が進むにつれ、取り壊しの話しがとり沙汰されている。
昨年も、年末までに引っ越さなければいけないかもしれない、と言っていた。

「結局、何もなかったわ。崇文区は人口は多いけど貧しいのね。
 それで、お金がなくなったから取り壊しが先延ばしになったって噂が立って
 いるの。」

彼女は今、新しい家を探しながら古い家に住んでいる。
住める間は、そこに住みたいといっている。

2003/04/04

 
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李華さんのいま話、むかし話 ☆ 李華さんの家-1

先日、李華さんのお宅にお邪魔した。
李華さんが住んでいるのは、
北京の昔の繁華街近くの胡同(横丁)で
四合院という旧式の家屋に住んでいる。

ここは彼女のお父さんが買った家で、
彼女の一家が住んでいた。
現在は、彼女の持ち物だが、何家族かが住んでいて、
「雑院」(長屋)状態だ。
家賃は国によって決められているため、雀の涙ほどだと言う。

李華さんが生まれたのはこの家ではない。
東単という内城(山の手)だ。
お父さんが天津との商売をしていて
いつも列車で行き来をしており、
駅から近いところに家を買ったのだと言う。

お兄さんたちは昔の家を覚えていて、
「あっちの家はよかった」
「窓に囲まれた部屋があって……」
などと小さいころによく聞かされていたという。

「その後、兄が連れて行ってくれたのよ。
 でもイメージとは全然違っていたわ」
「近くに、煎餅売りのおじさんがいてね。
 これは私も覚えていないのだけど。
 兄たちはその人の息子とよく遊んでいて、
 今でも仲良くしているらしいわ。」

この家も、今、まだあるかどうか、わからないという。
「たぶん取り壊しになったんじゃないかしら。」と彼女はいう。
そして、彼女の今住んでいる家も、いつ、取り壊しになるのかわからない。
それが今の北京の現状だ。

2003/03/28

ここのところ野菜が高いと李華さんがぼやいている。
「あんなクズ野菜が1斤1元もするのよ。」
詳しく話を聞くと、この野菜高は全国人民代表大会と関係があるらしい。

「だれかがね、野菜売りの人に文句を言っていたの。
 なぜこの時期に急に野菜が高くなるんだ!
 あんたたち、なんか目論見でもあるんでしょって。」

日本で年越し前や、お盆前には野菜や果物が高くなるように、
中国でも春節前などには野菜果物が高くなる。
でも、今はその時期ではない。

「そしたらね、大会のせいだ!っていうのよ。
 野菜と全人大となんの関係があるのよ!..って別の人が聞いたらね、
 関係大ありなんだよそれが……俺達だって早く終わって欲しいよ。
 ..って言うのよ。」

李華さんが聞いた話は……

全国人民代表大会と、それを前後にした各会議の開催で、
車の積荷検査や交通規制が厳しくなったという。
ちょっと何かの手続きミス、トラックが問題あり……などなどの理由で、
野菜運搬のトラックが入って来れなくなっているらしい。
そのため、品薄で値段が高騰しているのだという。

「『袖の下』を警官に渡せば、市内に入って来れるらしいけれど、
 その『袖の下』も野菜の値段に跳ね返るしね。
 まったく何をやってる会議だか、早く終わってほしいわ!」

「ほんとにそうね。」とうなずきながら、「あれ?」と思った。
昨年、こんな話あったかな?今までこんな事聞いた事がなかった。
もしかしたら、
北京大学、清華大学という最高学府で起きた爆発騒ぎなど、最近の物騒な事件で、全人大の開催期間中の警備が厳しくなっているのかもしれない。

たかが全人大、されど全人大……

早く終わって欲しい。それが庶民の願い。

2003/03/21

蛇足:中国の人たちは、人民代表大会を「人大」と略して呼びます。全国人民代表大会は「全国人大」、市の人民代表大会は「市人大」。
全国人民代表大会を「全人大」と略すのは日本風です。今回は会話を日本語に訳しているので、日本語風に全人大としました。
李華さんのいま話、むかし話 ☆ 5分銭 

家の中に5分銭が転がっていた。
今の時代子供達だってすら邪魔にするお金だ。
どことなく「子供銀行」と書かれたおままごとのお金を思い出させる。



今時、市場でだって分の単位のお金は受け取ってくれない。
外貨を替えたときにだって、切り捨てられてしまう事もある。
そんな小さなお金だ。
日本円でいったら、1分銭は15銭といったところだろう。
現在一般には10分銭=0.1元にあたる1角が使用通貨の一番小さい単位になりつつある。

しかし李華さんに言わせると、必要なときは必要なのだそうだ。
「最近スーパーで、パックのお肉とか、お野菜とかの値段に”分”がついて
 いるけれど、あと何があるの?」
と聞くと、
「水道料金」と李華さんの答え。
前回書いたように、彼女は四合院に住んでいるが、水道のメーターは四合院にひとつしかなく、1ヶ月の使用量は頭割りにして支払うのだという。
そのときに”分”の単位が出て来るという。
「みんなはお釣りはいらないって言うけれど、毎月の事だからキチンとしなくちゃね」

「そういえば、4分銭あったら手紙が出せたわねぇ」
「バス代も、一番安いのが5分銭だった」
「そうそう、アイスキャンディーなんて2分銭のもあったわよ
 だからね、兄さんとどこかにいくとき、バスに乗らずにアイスキャンディー
 買って食べたもんだわ」

「子供のころ、前門から景山公園まで歩いて遊びに行ったの。
 景山公園にはあの当時では新しい遊具があって皆でよく行ったわ。」
5分銭からそんな話しになった。

「景山公園に行くとき、皆小銭持って行くの。
 バスに乗るためじゃなくてアイスキャンディーを買うためにね。」
前門から景山公園……。北京の地図をお持ちの方は見ていただきたい。
前門の正式名称は「正陽門」。天安門広場の南にある。
目的地は景山公園。故宮の北側だ。

「子供の足で歩いたの?」
「だって、中山公園の遊具は面白くなかったし……」
「確かに、今、子供を歩かせられないわねぇ。車も多くて危ないし……」
そう言う問題じゃない、遠くないの???

「そりゃ遠かったけれど、やっぱり景山にある遊具の魅力が勝ったのよ。
 それからアイスキャンディーの」
「それに、大勢で、大騒ぎして歩くと、結構近いものよ。」
確かに、私も留学時代その程度の距離ならBFとよく歩いたものだ。

「やっぱり、時代が違うのよ。
 景山にあった遊具だって、今見ればたぶんたいしたことないと思うの。
 たかが回旋塔とか、そういうものよ。」

5分銭……今は邪魔にされるけれど、昔はそれで楽しめた。
そんな事を私も思い出した。

前門から景山公園:直線距離で2.5キロぐらいなので、道なりだと3キロ程?

2003/04/11

 
李華さんのいま話、むかし話 ☆ 修理屋さんが減ったわねぇ..

息子の、ダウンジャケットのファスナーが壊れた。
壊れたといってもツマミの部分だけで、それ以外はまだ大丈夫。それに、ダウンも結構上質の物を買ったので、出来たらファスナーだけでも取り替えたかった。そこでいつものように、李華さんに相談した。

「ファスナーだけ、取り換えられないかな?」
「最近、ミシンを外に出して衣類の補修してくれる人、少なくなったけれど...大丈夫。探してみるわ!」

そして次の日。。

「うちの近所に、一人いたわ。つまみの部分だけだから、本体の部分はそのままで、つまみの部分だけ交換してもらったの。7元よ。これはリバーシブルだから、ちょっと高いんだって。」
といって、付け替えてもらってきてくれた。

「最近は、靴の修理とか、衣類の補修とか、そとで簡単にやってくれる人、少なくなったわねぇ。」
と、李華さん。
「昔はたくさんいたのに。」

ちょっと前まで、細い通りなんかにはたいてい、各種の修理屋さんが、軒を並べるというより、道具を並べただけでたくさんいた。
「今は、探さなきゃいけなくなったわ」

確かに、驚くほどそういう人達は減ってしまった。
「直さないで買えってことなのかしらね。そういう人達がいないと、ちょっとダメになっただけでも、捨てなきゃいけないじゃない。」

そうだ、私の、かかとが磨り減ったのではなく、いびつにつぶれてしまったブーツも、彼女は「ダメモト」といって持って帰って直してきてくれた。

「まだまだ探せばいるけれど、あと数年経ったらどうなる事やら。それに、新しい場所にはそういう人達が本当にいないんだって。修理なんてやってくれる人は、他所の人が多いからね。」

こんなふうに毎回、あれやこれや、直しに持っていってくれる李華さん。

「主人のダウンのファスナーが壊れたのよ。それで、このまえ直してくれた人のところに行ったの。ところがなんと、いなかったのよ。もう真っ青になったわ。せっかく、良い人見つけたと思っていたのに。そしたらね、春節で田舎に帰っていたんだって。間が悪かっただけでよかったわ。」

ウチに来て、笑いながら報告してくれた。

「これで、しばらくは安心ね」

2003/03/14

 
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