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燕京雑考@ブログ版
中国・北京の歴史、風習を紹介。一日一つを目指します。
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李華さんのいま話、むかし話 ☆ 日本人のイメージ

李華さんは、日本の男性というと「亭主関白」で 「頑固親父」をイメージしていたと言う。
「日本軍が侵略してきたときのことを母から聞いたのだけど、
 襲われるかもしれないから女達は家から出てはいけないって、
 相当ビクビクして暮していたことがあったのだそうよ。」
「これは戦争の時の話しだから、私と母のイメージは違うんだけど、
 日本の男性というと、厳格ってイメージが強いのよね。」

「でもね、私が知っている日本の男性って、数は少ないけれど、
 私のイメージとは全然違うのよね。
 みんな温和な感じで、私のイメージとは違っていたわ。」

あるとき、李華さんがそんな話しをしてくれた。

「私のイメージって、どこからきているのかしら。
 小説なのか、映画なのか、それとも誰かから聞いたものなのかしら。」

「時代の違いっていうのもあるかも……」 と私が言うと。
「そうね、私の両親の世代と私達の世代では中国でも男性も女性も違うもの。
 私の描いていたイメージは、ひと昔前の誇張されたイメージなのかもしれな いわ。」
といっていた。

「そうはいっても、普通の中国人が抱いている日本の男性のイメージってそういうものよ。
 そして日本の女性は、物静かで、おしとやかで……そういうイメージ。」
「女性のイメージは、そのままなのだけど、男性は違っていたわ。」
我が家と、そして私に李華さんを紹介してくれた友達の家と経験した李華さんの言葉だ。

そういう話が出たときに思った。
李華さんは、日本人に対してどういうイメージを持っていたのだろうか。
商売をしていたお父さんが、日本人の友人もいたという背景もあるのだろうか彼女は日本人に対して、とてもよいイメージだけを持っていた気がする。
そして私自身、日本の戦争の時のことについて、
何もつらい思いをするようなことを言われた事が一度もない事に気がついた。

もしかすると、私と李華さんは、滅多にない種類の日本人と中国人なのかもしれない。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

最後に

李華さんのお世話になりながら、暮してきた北京での生活も、
残すところあと1ヶ月となりました。
急に帰国が決まったためです。
本当は、もっといろいろな李華さんのお話しをお伝えしたかったのですが、
最近は、私生活が落ち着かず、場当たりなお話ししかお伝えできなかったことを残念に思っています。
短い間でしたが、お読みいただき、ありがとうございました。

2003/05/30


 
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李華さんのいま話、むかし話 ☆ 何も出来なくても大丈夫!? 

私は何でも娘にさせるタイプだ。
そのせいか、娘は、幼いころからキッチンにも立つし、針と糸も持っていた。
反対に母は、自分でやったほうが良いと思うタイプで、結局私は、ひと通りは出来るようになったものの、なんでも母にやって貰う習慣がついてしまった。
李華さんは、私の母のタイプだ。
私も結構甘えて、あれやこれや頼んでしまう。

「私も、娘が幼いころからなんでもさせれば良かったのだろうけれど
 何もさせなかったから、今になって何にも出来ないって焦るのよね。」
あるとき李華さんがこういった。
「勉強さえしてれば……ってそういう意識もあったし。
 でもそうじゃないのよねぇ。  今からじゃ手遅れかもしれないけれど、
 これでも多少させるようになったのよ。」
という、それは日本でも一緒だと思うと彼女に言うと、
「あなたは違うじゃない?あなたのやり方見ていて、私も反省したの。
 小さいころからやっていると、何をするのも面倒に思わなくなるし。」
という答えがかえってきた。
「でも、子供にさせるのって、なかなか根気がいるわよね。」 という。

中国では一人っ子。
いつだって大人の目が行き届いていて、親がダメなときには祖父母、と必ず手 を出してくれる人がいるのだ。箸より重いものを持ったことがない……なんて 言い方を日本でもするけれど、中国の小学生なんて自分で学校の鞄を持ったこ ともないのではないだろうかとも思う。

「こんなだからね、何も出来ない子供が増えちゃうのよね。
 最近大学の寮には洗濯機が備えつけられたって。
 でも使い方も知らない子達が多いらしいわ。」

「こんな子供達が結婚したらどうなるのかしら……」
と李華さん、心配しながらも
「私が助けられるうちは助けるけれど。」
それを楽しみにしているようにも思われる。

ーー最近、こんな話になった。

「学校から1週間ぶりに戻ってきた娘の、シャツのすそがほつれていたの。  『どうして直さないの?』ときいたら『どってことないじゃない。』ですって。
 『同じ部屋の子はみんな出来るけど、私はこういうことできないし。』
 ですって!呆れてものが言えなかったわ。」

そして彼女が付け加えた言葉が印象的だった。

「学問をした人は、そういう雑事しなくてもいいのよ。
 働いてお金が入るようになったら、お手伝いさんを雇えばいいんだもの。」

ーーそれが今の中国の大都市..なのかもしれない。

2003/05/23


 
李華さんのいま話、むかし話 ☆ 高考

この時期(毎年6月)になると、新聞には「高考(ガオカオ)」という言葉が見られるよう になる。
「高考」とは、全国高等院校招生統一考試(考試=試験、高等院校は 大学などのこと)日本でいうなら全国共通大学入学試験というわけだ。
9月に新学年が始まる中国では、この季節が年度末。
入学試験が話題になるのはこの時期からだ。

特に今年は、テストが1ヶ月ほど前倒しになり、6月に試験が行われることに なった。
(7月では暑過ぎるということで)
それだけでも受験生も親も落ち着かなかったところに、新型肺炎の騒ぎ。
延期する、中止になる……などなど噂は後をたたなかった。

「今年から6月なんていって、まったくこの騒ぎ、ついてないわねぇ。」
と李華さん。
優雅に言っていられるのも、すでに娘さんが大学生だからだ。
2年が経って過去のことになっている。
しかし、娘さんの「高考」の年なんて、このままでいったら心配のあまり倒れ てしまうのでは……とまで思うぐらい、彼女も落ち着かない毎日を過ごした。

「今の大学生の親は、みんな文化大革命で勉強できなかった世代だから、
 自分たちの経験も何もないし、どうにもしようがないのよね。」

李華さんは、頭のよい人だ。
お兄さんが清華大学という理工系の最高峰大学出身だし、
時代が時代だったら、李華さんも大学に進んでいたに違いない。
でも、彼女は文化大革命の時代に大学受験期を迎えてしまった。 そして勉強の機会を失ってしまった。

「高考」は二日間のテストだ。
テスト会場の高校の門の前では、暑さにも負けず、
子供を送って、そして試験の終了を待つ親達の姿がたくさん見うけられる。
テスト前には、新聞に「高考」メニュー、快眠指南などなど
受験生の親向けの特集記事が満載となる。
李華さんも、毎日そういう記事やテレビ番組に注目していたと言う。
「もしかしたら、子供よりも私のほうが過敏になっていたと思うわ。」
彼女はそのころを振り返って、そう言う。

「私は終わったけれど、今年の受験生の親のことを考えると、
 ほんと、自分までが不安になるわ。こんな年にあたってしまって…
 延期になるとか、中止になるとか言っているけど、
 延期は、緊張している期間が長くなるし、
 中止は、どんな選抜になるの?というのがあるから、
 どうなるのかしらね。」

そんなことを李華さんが話してくれていた。
そして「高考」は予定通り行われる事が発表になった。
新型肺炎で隔離対象になっている受験生に対しては、
隔離対象者用の特別受験室を設けるらしい。

「非典型特番、「高考」電話相談」なる番組があった。
テストまであと1ヶ月を切っている。

2003/05/16

 
日本でも報道された、パニック状態からようやく抜け出したかに見える北京。
新型肺炎(SARS)の中国語の言い方「非典型肺炎」略して「非典(フェイディエン)」は一種の流行語になりつつある。
はてさて、そんななか李華さんはどんな生活をしているのだろうか。

「近所の繁華街も人がいないのが違うぐらいで、なにも違わないわよ。」
というのが最初の言葉。
「そうね、市場に行くときはマスクをするぐらいかしら。
 でも、最近暑いしね。マスクをしているのが鬱陶しいわ。」
 でも皆がしているから、私がしなくてもね……なんて思ったりもするわ。」

「どこに行っても人がいないでしょ。
 いつもなら大行列の銀行も、待たないですむのよ。
 窓口の行員さんが暇そうにおしゃべりしていたわ。」
これが李華さんが教えてくれた彼女の家の近くの様子。

また李華さんのような前にも紹介した四合院に住んでいる人達は
そとの公衆トイレを使うのだけれど、頻繁に消毒が行われているらしい。

「これだけ毎日報道されているけど、身近に感染者が出たって言う人いないのよね。
 市内の地域ごとの感染者数、あれ見てもわかるけれど、偏りがあるのねたぶん。
 ニュースではあそこが隔離、ここが隔離……っていっているけれどねぇ。」

それは私も思っていた。
大学時代の友達も同じことを言っていた。
そして「ほんとうに北京の話なのか時々不思議になる」と。

「でもね、外で遊ぶ子供の姿を見なくなったし……
 こんなにお天気が良いのにね。」
危ないからと、子供達は外にも出してもらえないようだ。
学校も休校、外でも遊べない子供達は、家の中でコンピュータゲームなどをしているらしい。 小さい子供達はまだしも、受験を控えている学年の子供達にとっては大変な事だ。

「7月だった大学共通入試(中国語では略称高考)を6月にして、
 その挙句これだものね……。これで延期なのか、中止なのか……。
 どちらにしても大変よね。」
そんな話もしてくれた。

あれやこれや、心が荒んでしまうようなニュースばかりだけれど、
ある日、李華さんがこう言った。
「このアパートに入ってくるとき、毎日検温があるんだけど
 ところが32度ですって(笑) 測りなおしたら36.6だったけど。」

笑いながらそう言う彼女をみていて、ようやくパニックから抜け出し、冷静に
対処しようとする段階になったのだなぁと、そんな風に感じた。
まだまだ終結までは遠いのかもしれないけれど。

2003/05/09
纏足という言葉はご存知かと思う。
漢民族の女性の昔の習慣で、幼いころから足を縛り、成長を止め矯正させられた先のとがった小さな足のことだ。
私が北京に留学していた80年代には時折見かけたが、
さすがに辛亥革命(1911年)以後は行われなくなったので、現在見かける
事はなくなった。

纏足の足は、小さければ小さいほど美しいといわれるらしい。
「三寸金蓮」といわれ、3寸ほどの小さな足が、蓮の花びらにたとえられ賞賛された。

李華さんのお母さんの足は、纏足失敗の足だったという。
「祖父母が、あまやかして育てたから失敗したらしいわ。」
と彼女は言う。
「足の指を内側に折り込んで、それを布でぎっちり巻いておくのよ。
 それだけならまだしも、それで歩かされるわけ。」
皆さんも試してみて欲しい。
足を握りこぶしを作るような状態にして、包帯で動かないようにきつく縛り、
それで歩くのだ。真似事のように言われた形にしてみたが、足の裏がつって、とても痛い。

「祖母に隠れて、布をはずしていたらしいのね。
 でも辛亥革命のご時世で、それもいいかなぁって感じで祖父母は許していたらしいわ。」
「でもね、縁談が出るころになって、大変だったらしいわよ。
 足の大きな女だって、いやがられて。」
「結婚してからもね、姑、だから私の父方の祖母や父に言われたらしいわよ。
 足が大きいって。」

表面では纏足をやめようといっても、やはり自分の身内の事となると、
悪習とはわかっていてもやめる事が出来ないし、それに従っていない
となると、ちょっと不満なのが正直な気持ちだったのだろう。

「祖母の足は、本当に小さかったのよ。握り拳ほどしかなかったわ。」
「それがね、足を洗うのがまた大変なの。
 いつも包帯のような布で足をぎっちり包んでいるでしょ。
 それを解いて、足の指を一本一本伸ばしながら丁寧に洗うわけ。
 いつも握っている状態になっているからまた伸ばすのが大変なのよ。」

小さかった李華さんはそれを興味深げに見ていたのだという。
そして「痛くないの?」という彼女の無邪気な問いに祖母は
「昔は痛かったけれど、もう痛くないわよ」
と答えたけれど、彼女には痛くないというのが信じられなかったという。

「靴は、たいてい祖母は自分で作っていたわ。
 既成の物ってあったのかしら……。」
「私が覚えているのは、祖母がね、冥土に履いていく靴だっていって作って
 いた、とっても素敵な刺繍の靴。
 蓮の花を刺繍していたけど、蓮の花の靴を履くのが決まりなんですって。
 紺のシルクの、とっても素敵な靴で、死んだときに履くなんて勿体無いって
 思ったの。そして祖母が亡くなったときには、その靴を履かせたわ。」

李華さんはその靴より素敵な靴を見たことがないという。
それぐらいとっても素敵だったと。
「なんかもったいない習慣よね」といって笑った。

「そうそう、祖母が友達と三人で、
 前門大街を天安門の方に向かって歩いていた姿を思い出す事があるの。
 三人ともとっても小さな足でね。 だからヨチヨチ歩きなの。」

私の頭の中にも、その風景が、浮かんできた。
それがなぜか、懐かしい風景のように感じた。

2003/04/18

 
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