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燕京雑考@ブログ版
中国・北京の歴史、風習を紹介。一日一つを目指します。
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調べてみるとてるてる坊主は中国の”掃晴娘”(サオチンニャン)が由来だそうです。

掃晴娘は天(空)の雨雲を掃いて掃除して晴れにする女神さまといったところでしょうか。

”掃晴娘”とはどんなものなのだろうかと、以前、北京っ子の李華さんにきいたところ、知らない... という返事が返ってきました。そしてしばらくたってから、

「そういえば、小さいころに、軒下に、紙で作った人形というかなんかがぶら下げてったことを思い出したけど、それが掃晴娘だったのかも」

と話してくれました。

その後調べたところ、中国最後の士大夫と言われる作家の汪曾琪(1920-1997)が、『私の家』(我的家)という文章の中にこんなことを書いていました。

雨は相変わらず降り続いている。
従姉は紙を切ってつくった人形を壁に貼り付けた。人形は片手に箕のを、もう片手には箒を持っている。
風が吹くと、揺ら揺らと揺れる。
これが掃晴娘だ。
ほんとうに不思議なことに、掃晴娘は一日空を掃き
二日目には少しだったが晴れになった。

特徴は、紙で作るということ、名前に掃くとあるように、箒をもっていることのようです。

ほかに調べてみると、顔は白、衣装を着た胴体はいろいろな紙や布で作った人形に箒を持たせたもの... というのもありました。

天を掃くということについて、前述の李華さんが面白いことを話してくれました。

「私は雨が降ったときに、空を掃く動作をするだけれど。
年配の人達がするようなことだから、最近は恥ずかしく、皆が見ていないときにだけするけれど。小さいころからの習慣で、雨がたくさん降っているときにするの。そのことを「掃晴」っていうのよ。」

なかなか面白い風習だと思います。

それからおまけに、小さいころ歌ったと言うこんな歌を教えてくれました。

老天爺 別下雨 蒸了饅頭 往上挙
老天爺 別刮風 蒸了饅頭 往上扔

天の神様、雨降らせないでね お饅頭を蒸したら、あげるから
天の神様、風吹かせないでね お饅頭を蒸したら、あげるから

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牡丹と芍薬の違い

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花... そんな言葉のあるボタンと芍薬ですが、どちらも中国では一般的な花で、特に牡丹は花の王様ともいわれ、中国の国花ともなっています。
そんな牡丹に良く似ているのが芍薬の花。この牡丹と芍薬の違いですが、牡丹は木本性(樹木)、芍薬は草本性(草)に分けられます。そういうこともあるからでしょうか、牡丹の別名に「木芍薬」という名前があります。


牡丹と芍薬

写真は季節の花 300さんから


牡丹に「木芍薬」という別名があるのなら、芍薬のほうが歴史があるように思えますが、調べてみると、『詩経』(紀元前2000~紀元前1500年ごろ)のなかに、芍薬を贈ったという文章があるそうです。晋(265-420)の書物には観賞用として栽培されていたことが記載されています。牡丹はそれに比べて書物に記載される事は遅く、南北朝時代にようやくその名を見つけることができるようです。しかし唐の時代の書物にも「木芍薬」という名で牡丹が書かれていましたから、芍薬のほうが一般的だったのかもしれません。隋から唐の時代に牡丹が尊ばれ、寺院などに牡丹園が造られ、それ以降、牡丹は花の王様としての地位を確立します。北京でも崇效寺ばかりではなく、臥仏寺の牡丹園が有名です。

牡丹が、高貴な花であるのに対して、芍薬は庶民の花といったところでしょうか。。昔から北京近郊の豊台で大量に栽培され、つぼみのつく旧暦四月ごろには切花として行商されたといいます。人々はこれを買い求め、花瓶に挿して飾り、楽しんだそうです。

はてさて、見たところ、どんな違いがあるのか... まず、芍薬は、すっと枝分かれなどなく立っています。そして牡丹は枝分かれするので横張りの樹形になります。そこから「立てば芍薬、座れば牡丹」といわれるようになったようです。また茎といいますか、幹といいますかを見るとすぐわかるのですが、前述のように牡丹は幹(木)、芍薬は茎ですからわかりやすいと思います。ご参考までに。

どちらも素敵な花です。皆さんも是非、お楽しみください。

~蛇足~

「木芍薬」という名前が気になって調べたところ、中国ではどちらも芍薬科、日本ではボタン科に属するようです。同じ花でもこの違い。面白いですね。以前はキンポウゲ科にどちらも属していたようですが...。

芍薬は、その名前からもわかるように、古くから漢方薬として用いられてきましたが、牡丹もやはり根の皮を漢方薬として使います。芍薬は鎮静、鎮痛剤として、牡丹は血の巡りを良くする薬として処方されるそうです

中国の暑気払の飲み物は「酸梅湯(スァンメイタン)」と「緑豆湯」。「緑豆湯」が温かいのに対して、冷たい飲み物が「酸梅湯」です。売り子も「冷たいよぉ」と銅の杯(小さなお碗?)を二つ指に挟み、器用にピンパンと鳴らしながら売り歩きました 。



「酸梅湯」は中国の伝統的な清涼飲料で暑気払の飲み物で、現在飲まれているものは、清朝の御膳房で皇帝のために作られていたもののレシピが原型 だといいます。原料は、烏梅(ウーメイ)(梅の燻製)、桂花(金木犀)、氷砂糖、蜜で、ほのかに甘く、ほのかに酸っぱく、そして木犀のほのかな香りがなんとも言え ません。そしてそれを冷たくしたものを特に「冰鎮酸梅湯 」といいますが、「酸梅湯」はもともとが冷たい飲み物なので、「ビンビンに冷やした」ということなのかもしれません。

特に有名なのは琉璃廠の「信遠斎(しんえんさい シンユェンジャィ)」のもの。

参考までにこの老舗の信遠斎の作り方は……:

   烏梅(華南産)を白砂糖または氷砂糖のシロップで煮詰める。
   「桂花母子」という金木犀の花のエキスを加え混ぜる。
   適当な濃さにした液を漉し、磁器の甕に移す。
   氷の入った漆塗りの桶に甕を入れ次の日に売りに出す。

売りに出される酸梅湯はとても冷たく、暑さで渇いた喉を潤してくれました。

蛇足になりますが、銅の杯二つをならすのは、「打冰盞(ダービンジャン)」といい、酸梅湯売りだけではなく、ほかにも冷たい飲み物を売る売り子たちが同じようなスタイルだったようです。銅の音が涼しげに聞こえるからでしょうね。

絵は「舊京風俗百圖」より


ちなみに、現在は、ペットボトルでソフトドリンクと並んで季節を問わず、売っています。
これを見かけると、私は、思わず手が出ます(^^ゞ
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